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Chiyoko-Kusakabe

(株)インターブレイン/日下部知世子(くさかべ・ちよこ)

1978年にフランス人調香師アルベール・アルゴー氏出会い香りと自然学の世界に入る。オーストラリアでスポーツアロマテラピーを研究、フランスやマダガスカルなどでフィトセラピーを学ぶ。長きに渡りフランスのアロマテラピーの父と呼ばれる故ジャン・ヴァルネ博士の哲学を後継者のマダム・ティフィーヌより学び2001年にヴァルネ夫人から正式な継承者として認定される。ヨーロッパの著名なアロマテラピー研究者たちとも交流が深い。現在(株)インターブレイン代表取締役としてホテルのスパのアドバイザーやアロマスクールを展開している。

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日本ではアロマテラピーというと“香り”によるリラクゼーションとイメージがありますが、発祥の地であるフランスでは医学的にとらえられています。医師による臨床的な研究と実践も進み医療の一部として活用されているのです。
 
実はアロマテラピーは紀元前の古い時代から化粧品や医療品に利用されてきました。19世紀以降に化学者薬学者が研究するようになると、さまざまな効果が分かってきたのです。香料会社の化学者だったフランス人、ルネ=モーリス・ガットフォセによって本格的な研究が始まり精油(エッセンシャルオイル)が優れた殺菌消毒剤であることを発見。また、精油の治療効果も研究し、1928年に精油を用いて病気を治す療法のことをアロマテラピーと名付けた論文を発表したのです。これがアロマテラピーの起源です。
 
香りは鼻で感じると思いがちですが、実は脳で感じるものなのです。空気中を漂う香りの分子は、鼻孔の奥にある嗅上皮で電気信号に変えられ大脳辺縁系、脳下垂体へと伝えられます。ここは体温や食欲、自律神経をつかさどる中枢部分。到達した香りの電気信号に対応した生理活性物質が分泌されるという仕組みです。アロマオイルに含まれるエッセンシャルオイルは揮発性物質からできていて、トリートメントの際に香りの分子として鼻から人間の体内に入っていくのです。この香りの分子が人間の身体にいろいろな作用を起こすのです。次にその具体的な利用法を見ていきましょう。

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 精油は、芳香性植物から分泌される揮発性で香りのある油性の液体です。植物によって精油が採れる場所は、花、葉、樹皮、根などまちまちです。精油は蒸留法あるいは圧搾法で抽出されます。抽出は最も難しい操作のひとつですが、それは植物の精髄である最も微妙で繊細な生成物をその質を損ねることなく集めることを可能にしなければならないからなのです。

芳香性分を最もよく保つ方法は低圧水蒸気蒸留法です。植物のなかでもエキスに富む部分が圧力をかけ過ぎることなく蒸留されます。この方法は当然揮発性の成分をもたらし、それは凝縮ののち精油となります。

柑橘類(レモン、マンダリン、グレープフルーツ、スウィートオレンジなど)の精油は、動力を使うのであれ人力であれ物理的な方法、低温圧搾で抽出されます。

 

精油の使い方
スパでのもっとも効果的な精油の使われ方はアロママッサージです。精油が入った植物油でトリートメントすることで、精油の有効成分がゆきわたります。どんな効果を求めるかによって、このマッサージオイルに精油を一種類、もしくは数種類だけ混ぜ合わせることも可能です。

また、美容にも有効です。精油は有名な化粧品のほとんどに入っています。それらはもちろん香りのためということもありますが、精油の皮膚に与える効果のためでもあります。ローズゼラニウム、ベチバー、ティートリ?、ラベンダー、ラバジン、柑橘類の精油を植物油に加えることで、最も効果の高い化粧品に匹敵する美容オイルとなります。次に具体的な活用事例を紹介します。
注意:柑橘類の精油は肌の色を均一にし皮膚を引き締めるといわれていますが、光感受性があるので日光にあたる時に使用してはいけません。

 

アロマバス
心地よいと同時に効き目のあるアロマバスは精油のあらゆる効能をもたらしてくれます。お湯の熱さで毛穴が開き有効性分が完全にしみ込んでいきます。浴槽から立ちのぼる蒸気を吸い込み呼吸器に働きかけます。どんな効果を求めるかによって数種類の精油を組み合わせることができます。

 

吸入
風邪を避け呼吸を整えるために精油を吸入のかたちで使うこともできます。ボール一杯の熱いお湯に精油を数滴たらしてその蒸気を吸い込みます。

 

室内の空気浄化
精油には呼吸している空気を浄化してくれる強力な殺菌作用があります。よく知られているように鎮静効果のあるものもあれば、逆に覚醒効果を持つものもあります。

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各精油は、それぞれ異なる特徴と働きを持っています。精油の個性を知って、ニーズにあったものを選べばトリートメントの効果もさらに促されることでしょう。ここでは、医学的な目的を持って使うのではなく、トリートメントやご家庭のケアにも適したポピュラーな精油をご紹介します(※精油はオーガニックをお使いください)。
 
ストレス解消や気分を落ち着かせる >>
 ラベンダー、ラバジン、スウィートオレンジ、プチグレン、サイプレス
安眠 >>ラベンダー、カモミール、イランイラン
冷え・浮腫みや疲れた足に >>レモン、サイプレス、ベチバー
デスクワーク等で疲れた筋肉と関節のこわばりのケアに >>
 シトロネラ、ジュニパー、ラベンサラ
呼吸を整えるために >>ユーカリ、ニアウリ、パイン、タイム
リフレッシュや集中力アップ >>ペパーミント、グレープフルーツ、ローズマリー
日焼けケアに >>ラベンダー・カモミール
鬱や精神的な落ち込みに >>ネロリ、マジョラム。ベルガモット
ホルモンバランス >>クラリセージ、ローズ

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精油はシングルで十分お使い頂けますが、数種類のブレンドオイルも相乗作用があります。スパでも用いられている一例をご紹介しましょう。
※1回10mlの植物油(ホホバ・アプリコット・マカデミアナッツオイルなど)を3%に希釈します。
 
肩こり >>ペパーミント4滴、ラバンジン2滴
冷え浮腫み >>サイプレス4滴、ベチバー2滴
ホルモンバランスを整える >>クラリセージ3滴、ラベンダー3滴
呼吸器の感染予防に >>ユーカリラジアタ3滴、ユーカリ2滴、ペパーミント1滴
女性美肌ブレンド >>イランイラン3滴、ローズゼラニウム、2滴、ベチバー1滴
男性のストレス緩和 >>ラビントサラ3滴、サイプレス2滴、ペパーミント1滴
 
日本では医師法や薬事法でアロマテラピーは正式に医療とは認められていませんが、さまざまな病気や感染の予防にも役立てることも十分可能なセラピーです。アロマテラピーのことをよく理解して自分自身の健康管理やコンディション維持に役立てたいものですね。